2017年11月22日

ボトルインプ日本語版を作ることになったワケ


今日は現物の写真を載せたかったんですが、着荷が延期になったので使い回しです。

 さて、ゲームマーケット秋にて先行発売が予定されていますボトルインプ日本語版ですが、「このゲームを取り扱う数寄ゲームズとはなんじゃいな?」「どうして数寄ゲームズが取り扱うことになったんや?」と皆さん疑問に思われているのではないかと思います。今回はその辺に触れていきたいと思います。

 そもそも数寄ゲームズとはなんなのか。……はい、ボードゲームを制作する傍らで、様々なゲームデザイナーの手によるゲームの製作出版も行っているただの個人のブランドです。なんか後ろにめっちゃ金満なパトロンでもいればラクなんですけども、そういうこともなく一人で手弁当でやってます。
 同人ボードゲームの制作と海外商業ボードゲームの出版ではだいぶ階段をすっ飛ばしているように見えるかもしれませんが、数寄ゲームズではこれまで

・「娘は誰にもやらん」「コプラス」の出版(同人ボードゲームの出版)
・「そんな顔してどうしたの?」の出版(クラウドファンディング発海外ゲームの出版)

 と、段階を踏んでいますもんで、そこから敷衍すれば今回の海外商業ボードゲームの出版もそれほど突飛な展開ではないとご理解頂けるのではないかと思います。まあ、こうした例は珍しいかもしれませんが前例がないワケではなく、例えばテンデイズゲームズの前身の水曜日の会時代のタナカマさんがワレスのウントチュースを出版してたりしますね。

 http://tanakama.seesaa.net/article/119592888.html

 2009年ですって。

 さて、ぼくがボトルインプを作ることになった動機としましては、何よりも「このゲームが欲しい!」という一点に尽きます。トリックテイキングという字面にも馴染みがない時分にZ-Man版のボトルインプを遊ばせて貰いまして「なんかめちゃくちゃドキドキするゲームだな!」と強烈なインパクトを受けました。
 しかし、気づいた頃にはZ-Man版のボトルインプは絶版で、バンプスシュピーレから出版された青箱も見逃し、入手の機会をことごとく逃して今に至ります。もちろん手段を尽くせば手に入れる方法はいくらでもあるんですが、ぼく自身が面倒くさがりな性格なこともあって、例えばBGGマーケットは便利なんだろうなーと思いつつも手を出せずにいます。
 ぼくは基本的には他力本願がモットーでして、ボトルインプにしても他のメーカーの方が日本語版を作ってくれるなら「むしろありがたい! それならラクして手に入るぞ!」という気持ちではいました。でも、他に誰も挙手しないようだったので結局自分で作ることになった感じです。

 現状ボトルインプに限らず多くの名作トリックテイキングゲームが日本語版の出版には至っていません。その理由は至極簡単な話で、つまり売れないからです……
 これは何もぼくの妄想ではなく、複数のショップ関係者の方から「トリックテイキングゲームは売れないよ」という言葉をお聞きしています。人によっては「驚くほど売れないです」とまで言われたり。
 例えばショップの方にぼくが作った「どっちの始末Show」の取り扱いをお願いした時の会話がこんな感じだったんですが。

「箱にトリックテイキングゲームって書いてありますね」
「あ、そうですね。このゲームを気に入ってくれた人が次にトリテを探しやすいように……」
「トリックテイキングゲームって書いてあると売れないんですよね」
「あ、そうですか……」

 トリテ好きのためによかれと思って箱にジャンルを書いたのに、辛い…… 辛さしかない…… トリテ好きの市民権薄い……
 ただ、実はこの売れる売れないという表現はクセモノではあります。トリテ好きからすると「100個は売れるでしょ」みたいな「売れる」感覚なのに対してショップの方の感覚は「1000個は売れないでしょ」からの「売れない」みたいな。「売れる」の水準自体にズレがあったりもします。
 まあ、具体的な数字はともかくとして、現在の市況としてはトリテにかける労力でもっと大きな仕事ができるだろうというのが流通側の一般認識ではあろうと思います。
 大きな仕事とはつまるところ多くの人が待ち望んでいる仕事です。それを叶えるのは流通側の存在意義でもありますので、優先順位を考えてトリテが後回しにされるのは仕方のない面もあるでしょう。
 しかし、面白いゲームは次から次へと出てくるワケです。復刻を待ち望まれているゲームもドンドコ増えていきます。そんなこともあって「これはいつまで待ってもボトルインプの出番が回ってこないんじゃないか……?」という疑念にぼくは囚われまして「それなら自分でやるしかないんじゃないか?」という危険な妄想に取り憑かれ始めたのです。

 考えてみたらこれまでの色々な経験で海外の商業ゲームでも出版できる経験値が自分の中には溜まっていました。「自分で作れるじゃん」はヤバい発見ですね……

 で、トドメになったのがあるメーカーの方に「ボトルインプ日本語版作らないんですか?」と聞いた時の「うちにとってはスペシャルなゲームじゃないですね」という返答でした。しかしながらぼくにとってはスペシャルなゲームなので「うん、これは人をアテにしても仕方ねえな!」と、この時に吹っ切れました。そして作者のギュンター・コルネットにコンタクトを取ったのが今年の2月になります。

 なので、最初の動機は「自分が欲しかったから」で、それが行動に結びついたのは「他にやってくれそうな人がいなかったから」になるのかなと思います。なので「あんなよくわからんところが出す日本語版なんて信用ならんザマス!」とお思いの方もいるかと思いますし大変ごもっともな話ではあるんですが、元々「よくわかるところ」は手出ししないゲームなんですなこれは。ぼくは「どうにかなるんじゃないかなあ…… なるといいなあ……」と思ったので今回チャレンジしてみたワケですが、さて、どうなるでしょうかね? これは怖くもあり楽しみなところでもあります。

 正直なところ、メーカーとしての数寄ゲームズの信頼はまだ途上にありますから現時点で不安に思う方がいるのも当然のことと思っています。そこは行動で示していくしかありません。
 それだけに制作決定の告知から発売を楽しみにしてくださっている方々にはとても感謝しています。なんとかその期待に報いたいもんだなあと思っています。ゲームが好きだ、ってことくらいしか数寄ゲームズには信頼の担保がないのが現状ではありますが、ゲームの制作自体はラウタペリですし、いい意味でいじる部分のない新版ですので、クオリティについては安心して頂ければと思います。ボトルインプ日本語版をどうぞよろしくお願いします!
posted by 円卓P at 21:59| Comment(0) | ボトルインプ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月16日

ゲムマ秋にボトルインプ日本語版を出展します



 予定としてはなんとか間に合わせたいね、と言う話はこれまでしていたんですが、着荷日の見込みがつきましたので正式に告知いたします。
 ゲームマーケット2017秋にギュンター・コルネットデザインのトリックテイキングゲーム、ボトルインプの日本語版を出展します。ボトルインプのざっくりとした説明については過去記事をご覧頂ければと思います。

 ボトルインプ日本語版を発売します



ボトルインプ日本語版
ゲームデザイン:Günter Cornett
アートワーク:Tuuli Hypén Jere Kasanen
プレイ人数:2-4人
プレイ時間:30分
対象年齢:10才以上
価格:イベント価格2000円

内容物:
プレイングカード 36枚
初期価格カード 1枚
カード早見表 3枚
ボトル駒 1個
ルール 1冊

 ゲムマではお釣りのない2000円での販売となりますが、その後の一般販売では2100円(税抜)となります。具体的な取り扱い先についてですが、数寄ゲームズの他のゲームと扱いは同じなので、これまで数寄ゲームズのゲームを扱って頂いているところでは販売があるのではないかと思います。この辺、こちらとしては注文を頂ければ喜んで出荷いたしますので、近くのショップで買い求めたい方はショップの担当の方に取り寄せをお願いするといいんではないかなと思います。



 また、ボトルインプ日本語版にはプロモカードとしてカード早見表を追加で1枚お付けします。これは日本語版のみの仕様です。
 国内の印刷所で刷ったものなのでカードの品質自体は内容物とは異なりますが、参照用として使う分には不自由はないと思います(まだ手元に届いてません……)

 ここからはちょっと細かい話になるので興味のある方だけ読んで下さい。

↓↓↓↓

 内容物の一覧にも書いたんですが、日本語版ボトルインプにはカード早見表が3枚入っています。このカード早見表はボトルインプの特徴でもある偏ったカード構成が一発でわかるナイスアイテムなんですが、最大プレイ人数4人に対して同梱されているカードは3枚…… 同じような仕様でゲームを作ったことがあるのでちょっとした親近感は覚えるのですが、さておきプレイアビリティには若干の瑕瑾が生じます。
 細かいことを説明すると今回のラウタペリ新版はバンプスシュピーレから発売された旧版(いわゆる青箱)の仕様を踏襲しているもので、Z-Manゲームズから発売された小箱版(いわゆる赤箱)に慣れている人にとってはわずかなりとも違和感があります。ぼく自身のボトルインプとの出会いはZ-Manゲームズの赤箱だったので、この点に関してカード早見表を4枚に増やせないか、とラウタペリには打診しました。
 ですが、きっかり40枚のカード構成に追加の1枚を加えるのはコスト的に難しい…… ということから申し出は受理されませんでした。ボトルインプは3人プレイ推奨のゲームなので早見表も3枚しかつけなかった、とかではなく、単純にこれはコストが理由っぽいです。あと、カード枚数を変更する場合、日本語版だけでなく他の言語の版にも影響を及ぼすので「たかが1枚」と言えども仕様変更の影響が大きすぎるという事情はあったかと思います。
 とは言え個人的にそれはマズかろうという思いはあったので、その後もラウタペリと相談して、日本語版で独自にプロモカードとしてもう1枚を追加することにOKを頂けました。なのでラウタペリから「やっぱりカード1枚増やしたよ」と貰ったのではなく、ぼく個人が自主的にやってます。
 まあ、なくてもゲームは遊べるので、別に必要のない1枚と言えばそうかもしれないんですが、コダワリでそうすることに決めました。

 そんなこんなでボトルインプ日本語版の製作には細々としたネタ話があったりもするんですが、そうした製作事情についてはおいおい書いていければと思います。
posted by 円卓P at 20:10| Comment(0) | ボトルインプ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月09日

ボトルインプ日本語版を発売します



 ギュンター・コルネットがデザインした欲望と恐怖がせめぎ合うトリックテイキングゲーム、ボトルインプの日本語版を発売します。プレイ人数は2-4人、推奨9才以上、プレイ時間は30分です。
 これはフィンランドのゲームメーカー、ラウタペリが製作中の2017年新版を日本語化したもので発売時期は秋から冬を予定しています。価格はまだ未定です。

 ボトルインプは「宝島」や「ジキルとハイド」で知られるスティーブンソンの同名の小説から着想を得て作られたゲームで、システムとテーマの合致度に秀でたトリックテイキングゲームとしてしばしば名前が挙がるゲームです。これまで何度か版を重ねているのですが日本での流通量が少なかったこともあってプレミア値のついているゲームとしても知られています。(長らく絶版状態にあった……と書こうとしたのですが、コルネット曰く「連絡くれれば売ったよ」ってことらしくちょっとだけ在庫はあったらしいです)

 トリックテイキングゲームとしてはマストフォローにも関わらず色に関係なく数字だけで勝敗が決まるのがちょっとユニークなゲームです。切り札扱いの最強カードがラウンド中にコロコロ入れ替わり、破滅をもたらす悪魔のボトル、表題でもある「ボトルインプ」が目まぐるしくプレイヤーの手元を行き来します。
 ラウンド終了時にボトル駒を持っているプレイヤーはこのラウンドで稼いだ得点がすべてパーになる上にラウンド初めに密かに決められた失点まで被ってしまいます。なのでボトル駒を避けるように立ち回りたい…… のですが、得点を稼ぐためにはボトルの悪魔の力を借りざるを得ない…… ということで、道中はなるべくボトル駒を利用しつつ、最後の最後で他人にボトルを押し付ける! というムーブを狙うことになります。いわばチキンレース的な要素があるワケですね。
 ここにトリックテイキングゲーム特有のカードプレイの縛りが絡んでくるのでゲームは二転三転し、悪魔の力でガッポリ儲かっていたハズが気づいてみれば一転死の縁に立たされると言ったダイナミックな展開が生まれるのです。
 壮絶なクライマックスに向けて全員がアクセルを踏み込んでいく破滅へのカタルシスこそがこのゲームの最たる魅力であり、病みつきになる部分でもあります。大量得点をせしめた上で他人を崖から蹴落とす麻薬的な興奮、そして計画が狂って地獄に落ちる絶望をぜひ多くの方に味わってもらいたいです。



 ちなみに以前の版で遊んだことがある方には気になるであろうボトルの仕様ですが、新版はカードではなく木製のボトル駒が付属しております。なので日本語版もボトル駒同梱ということになります。
 ここはぼく自身もラウタペリに真っ先に問い合わせた部分なので、気になっている方はご安心ください。

 あとは今回の版では2人用のバリアントルール2種がカバーされています。バンブスシュピーレの旧新版(作者曰くバンブスブルーボックス)に準拠した内容で、そのため対応人数は2人から4人となっています。

 少しマニアックな話をすると、このボトルインプ新版はラウタペリの小箱シリーズ第4弾になります(第1弾がダンジョンラッシュ、第2弾が本州、第3弾がビザンツ)。なので、英語版では側面に背表紙風のデザインが施されて通し番号が振られているのですが、日本語版ではこうしたデザインは除いてあります。ラウタペリの全製品を扱うならまた話は違うのですが、今回はボトルインプのみの取り扱いとなりますので、シリーズで揃えたい、という方はどこかで英語版をお求め頂ければと思います。
posted by 円卓P at 21:11| Comment(0) | ボトルインプ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする