2020年05月15日

「アンダーウォーターシティーズ 新たな発見」紹介



 ファンの皆様、お待たせいたしました! 2018年のエッセンで発表されて人気を博した「アンダーウォーターシティーズ」の拡張「新たな発見」を5月18日より数寄ゲームズ通販サイトにて発売いたします。また、後ほど全国のゲームショップ等でも販売する予定です。

 スペックとしてはプレイ人数1-4人、プレイ時間100-180分、対象年齢14歳以上となっております。販売価格は税込6490円です。

 相当なヘビーゲームではありますが、後述の「クイックスタートゲーム」の要素で基本からはスピードアップが図られています。

 また、基本から続くソロプレイルールにも新たなゴールが設定されているため、これも今の時期では嬉しい要素と言えるのではないでしょうか。


 目標点数125点はインフレの気配……!


 さて、「アンダーウォーターシティーズ」自体について簡単に紹介しますと、海底都市の建設をテーマとしたカードマネジメント+ワーカープレイスメントの戦略ゲームです。ワーカーを配置するそれぞれのアクションスペースには赤・黄・緑いずれかの色が振られていまして、同時にプレイするカードがスペースと同色ならスペースの特典に加えてカードの特典も得られる点が大変悩ましくも工夫のし甲斐があるゲーマーズゲームです。

 今回の「新たな発見」は、そんなベースゲームの魅力をそのままに、荒削りな面も見られた「アンダーウォーターシティーズ」の完成度を更に高めるファン必携の拡張となっております。価格はややお高めですが、それに見合う価値のある内容なのは間違いありませんよ。


 こちらは内容物の一部。

 拡張の要素は主に6点。「新たなカード」「新たな個人秘書」「初期資源タイル」「新たなプレイヤーボード」「新たな主要都市」「博物館」となります。



 この中でまず目を引くのが「新たなプレイヤーボード」です。最近流行りの配置したコマがズレない複層式ボードが今回の拡張では採用されています。しかも基本を遊んだ方ならご存知のとおり、このゲームはプレイヤーボードに表面と裏面がありますから、なんと拡張のボードは3層です! 贅沢な作り!

 しかもそのボードが8枚も入っています! 基本ゲームと同じ配置のボード4枚に加えて、拡張セットで使用できる新しいボード4枚の計8枚ということです。これだけでボール紙24枚相当の資材を使用しているワケで、お値段の理由も少しはご理解いただけますでしょうか。


 さて、基本ゲームでは、私的に3Dプリンターでコマやらリソースやらを出力してコンポーネントを豪華にして楽しんでいたんですけども、友人からは「ボードもなんとかできない? ほら、サイズみたいな感じで段差があってコマがズレないように……」と何度か尋ねられていました。
「実は拡張でボードが複層化されるんだよ!」とは、その時点では言えず、ドゥフフと怪しい笑いで返していた記憶があります。

 このゲームは間違いなく面白いゲームではあるんですけども、コンポーネントが物足りない点がやはり明確な弱点ではありました。まあ、デリシャスゲームズ立ち上げ直後の一作目ということで、なかなか資金繰りも大変だったんだと思いますが……
 特にボードの薄さはこの手のゲーマーズゲームに親しむ人にとっては画竜点睛を欠くポイントだったので、それが今回の拡張で見違えるようなパワーアップを遂げたのは特筆に値する点でしょう。これは買いや!


 続く注目ピックアップポイントとしては「新たな個人秘書」と「初期資源タイル」です。

 基本ゲームではゲーム開始時に貰えた各種のリソースと1枚の秘書カードが、拡張では能力を拡張された強力な秘書と多種の資源に置き換わります。

 これに伴って拡張では後手から資源を逆順で選択する方式にルールが変わりました。秘書は各プレイヤーに2枚ずつ配られ、そのうち1枚を選択する方式です。

 特に秘書はアクションカードとしても基本ゲームの秘書の能力「1金or1鉄」からとんでもないパワーアップを遂げていますし、ついでに常時発動する特殊効果まで備えていて、より尖った戦略を実行する大きな可能性を秘めています。


 秘書とは……?

 これに伴いまして1ラウンド目を省略して2ラウンド目からゲームを始める「クイックスタートゲーム」が採用され、基本ゲームよりもプレイ時間が短くなります。

 別ゲームで例えると「テラフォーミングマーズ」の「プレリュード」拡張的な趣の要素です。セットアップの選択肢を広げるとともにプレイ時間の短縮を図ってゲームがより遊びやすくなります。


 あとは何枚あっても嬉しい「新たなカード」。テクニカルな用法を求められるカードが52枚追加されています。また、基本ではやや弱いとされる戦略に対してシナジーを高めるカードが投入されていたりと、全体的なバランスの調整も図られています。



 「折衝団」は、無色のアクションスペースでカードも使える常時効果カード! 「2金貰えて2枚カードが引ける強アクション(笑)」と言われた無色のアクションスペースがガチの強アクションに変貌します。基本を遊ばれた方はなんとなく察しがつくとは思いますが、このカードは色ごとに微妙に効果の異なる3種類があります。

 また、基本ゲームだと人数によってはギリギリ、リシャッフルが入ることがありましたが、これらのカードを加えることでリシャッフルなしで時代を走り抜けることができるのも地味に嬉しいところかもしれません。


 そして残すはプレイヤーインタラクションを高める「新たな主要都市」「博物館」の要素。基本ゲームでも選択ルールとして目的達成の速度を競う「政府契約」がありましたが、これらも同様にプレイヤーに特定の目標達成を競わせる要素です。



 「新たな主要都市」は、基本ではセットアップ時にランダムで決定されていた主要都市が、拡張では打って変わって早取り競争の対象となります。一番最初に主要都市のスペースに接続したプレイヤーは公開されている主要都市から好きなものを選んで配置できるようになります。

 絵的には陸地に突然主要都市が生えてくることになるんですけども……

 基本ではランダム配置なため自分の方針とは噛み合わないこともあった主要都市ですが、拡張ではコントロール性が高まったこともあり、積極的に戦略に組み込むことができるようになります。地味ではありますが、デザイナーの手腕が伺える手堅く面白い要素です。




 「博物館」は、これも拡張の目玉の一つと言えましょう。新しい個人ボードには発見スペースが幾つか配置されていて、そのスペースを埋めるように建設を行うと「発見タイル」を獲得することができます。



 ゲーム中、「発見タイル」は最大で5枚まで獲得できるのですが、「発見タイル」は獲得する度に大きなボーナスを得ることができます。このボーナスは早いもの勝ちなので、自分の計画を曲げてでも「発見タイル」を取りに行くのか、悩みどころが一つ増えたような印象ですね。

 「博物館」には、基本ゲームで争奪戦がとにかく激しかった特殊カードを無料で獲得できるボーナスもあり(しかも特殊カードは公開済みなので狙った特殊カードが取れる!)、特殊カードプレイ大好きマンな自分としてもちょっとヨダレが零れる要素です。特殊カードガチャに挑んで爆死することもままあるゲームですからね…… 確定で取れるのはデカい……!


 基本ゲームはソロプレイでもあまりプレイ感が変わらないと言われるようにインタラクションの薄いゲームではありました(言うてもワーカープレイスメントの常としてアクションスペースの奪い合いは熾烈なんですけども)。

 最近のゲームのトレンドとしてインタラクションは薄めの向きがありますけども、それはそれとして複数人で遊ぶゲームの楽しさは互いの戦略の押し引きを巡る駆け引きでもあるので、競争要素が増えてより締まったプレイを楽しめるのはよいことではないかと思います。


 とまあ、今回は拡張で追加される要素を紹介してきました。どの要素を見ても、基本を遊んだ人が「これがあるといいなあ」と思える要素をプラスした「痒いところに手が届く」拡張ではないかと思います。

 また、これらの要素は選択可能、組み合わせ自由のモジュール式なので、プレイグループの経験や好みに合わせて最適な組み合わせを模索するのも楽しいかと思います。

 「アンダーウォーターシティーズ」は、いつの間にかBGGランキング61位(!)に到達していたんですけども、まだ遊んだことのない方も多いゲームだとは思いますので、この機会にぜひ触ってみて貰えればと思います。

 言うてなかなか集まって遊ぶのも難しい状況でもあるんですけども、そこはソロプレイでもできるよということで。ぼくもしばらくはソロプレイでプレイ欲を発散するんじゃないかなあと思っています。



 基本だと不足しがちだった建物トークンの追加も地味に嬉しいですね。「アグリコラ」で食料とか木が追加される嬉しさにも似て。
posted by 円卓P at 12:00| Comment(0) | ゲーム紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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