今回の箱のデザインはミステリテーマということで、すんげーわかりやすく岩○文庫の装丁をなぞってみました。まあ、一口に岩○文庫って言っても、時代で装丁に変化があったりするので、どれを選ぶのかはまた趣味の出るところではあるのですが、あんまりシンプルにしすぎてもどうかなということで現行のレイアウトに近いものを提案させて貰いました。

最初に提案した素案がこちらなのですが、だいたいこれで完成してしまっています。一番の理由はこのデザインは割と作るのがラクということでw
専用のパッケージアートを新たに起こすのは工数がかかりますし、かと言ってカード絵の使い回しはイマイチインパクトに欠けるのは否めません。パッケージデザインにはそうしたジレンマが常について回るワケですが、このデザインならそうした手間を最小限に抑えつつインパクトも打ち出せるのでまさに一石二鳥だったんですね。
ちなみに最初は「帯は所詮付属品やろ」と考えて、帯なしのデザインで考えていたんですが、帯がないと色彩的に地味すぎて商品として目を惹かなさすぎたので、最終的には一見目に痛いピンクの帯ありのデザインになりました。実際、帯がないと惹句とかも書き込むスペースがないんで、商品としての押し出しに欠けるというか、まあ、昔ながらの素朴さを踏まえつつバランスは取っていかないとアカンよね、ってのが難しいところではあります。
で、この素案、製品版とは微妙に異なる点がチラホラとあります。
まず1番最初に目につくのは箱の構造でしょうか。「犯人は踊るポーカー」は当初「姫騎士の魂」とセットで販売することを考えていたため、箱にかけられるコストは限定的だったんですね。そのためにチョイスされたのがいわゆるキャラメル箱で、この素案もキャラメル箱の展開図として作られています。実はこのデザインはキャラメル箱の方がより文庫っぽく仕上がるのでフタミ箱の製品版は若干不自然ではあるんですが「箱としてはフタミ箱の方が強度もあっていいよね」という最終判断を下したこともあって、なかなか痛し痒しというか。コストを存分に掛けられるならいくらでも工夫はできるのですが、限られたリソースをどう分配するかとなると難しいところなのですね。
あと、背表紙の位置も違います。このデザインだと逆開きになってしまうw この辺はぼくのうっかりで、鍋野さんの奥さんに修正してもらっています。
天地には対象年齢などの情報を赤で記してまして。これ、イメージ的には蔵書印なんですが、個人の持ち物に蔵書印ってどういうことだよ、という気もしなくもなく。あれ、そう言えば製品版だと枠線なくなってますね……
あと、表表紙の帯のコピーが全然違います。まだこの時は適当にコピーを置いてます。このコピーは実際ゲームを遊んでみるとどういうシチュエーションなのかわかると思うんですが、初見の人にはなんのことやらですね……
実際、簡潔でインパクトに満ちたコピーはなかなか難しく、現行の「君と僕の手の上で、犯人は踊る」もちょっとむず痒いところがあったりして。今回のデザインはタイトルが小さいのでゲーム名でもある「犯人は踊る」という文言をとにかく入れたかったんですね……
裏表紙の帯。犯人は踊るポーカーの後ろに★★★が書き加えられていまして、「これはミシュランみたいなもんかな?」と思ってネタ元の表記をそのままなぞってみたんですが、実はこれはページ数と値段を示したもので「★=50ページで50円」という意味なんだそうです。なのでこの表記ではこのゲームは150円ということになってしまう……
「☆=100ページで100円」らしいので、☆☆☆☆☆が表記としては正しかったんですね。はい、このゲームは500円です。
裏表紙についてはそもそも面積に余裕がないので通り一遍の情報を記載するとそれで埋まってしまうという…… 入稿してから「あ、QRコード入れとけばよかったな」と思ったりもしたんですが、まあ、実際この辺は弄る余地はあんまないかな……

で、2月に入ってから鍋野さんから送られてきたデザインがこちら。鍋野さんの方ではCMYKカラーで作業しているのでスクリーンショットは変色してるんですが元の色味は先程のものと同じです。
で、こちら、見て貰えば分かる通り、小口の処理が若干違います。箱がキャラメル箱からフタミ箱に変わったので「箱付き辞書みたいなデザインにしようか」という話になって、その具体案がこれです。
ただ、箱付き辞書もちょっと混乱する作りではあって、「あれ、こっちが小口だと蓋を開けた時に向きがこうなって……???」とか、まあ、色々な理由から結局元の文庫形式に戻ったのでした。この辺、納期やコストの関係から箱の仕様が二転三転したこともあって、ギリギリまでなんか色々やってた気がします。その辺のアレもあったので、やっぱりパッケージアートに過度に工数をかけないという判断は妥当だったのではないかなと思っていますw

で、立体箱絵を作るために用意して貰った完成形の展開図がこちら。やっと落ち着いてホッとしましたw
これをソースに作った立体箱絵も好評を頂けたようで、「あーよかった、独りよがりじゃなかったなー」と胸を撫で下ろしてます。
製作の最中、一回不安に駆られて鍋野さんに「このデザイン大丈夫ですかね……!?」ってマジ聞きして「オーラ感じます」って言われてホッとしたりとか。実際、ネタを出した直後は「やっべー、これウケるー最高ー」とかテンションハイなんですが、製作が進むにつれて当初の高揚感が失われて段々懐疑的になったりもするんですね。
特に今回の箱デザインなんかはぼくの考えたものがそのまま通っているのでなおさらで。これが適度に手を加えられていたら安心もできるんですがw

とまあ、そんな感じで仕上がった箱のデザイン。製品版もイメージ通り上々の出来栄えで、早くこのパッケがゲムマ会場でズラッと並んでるところを見てみたい! ……いや、スペースの都合でそれはムリだなw