ポストカードゲーム用の磁石を求めて近所のダイソーに行ってみたら週末まで改装中で「お、おう……」となったぼくです。なんでこのタイミングで!
くいだおれうちゅうじんですが、今用意できている数は60個くらいですかねー。うち、27個は交換用なので一般販売は30個程度です。うーん、でももうちょっと作るかなー。こっちはあんまり在庫残したくないんですよね。
姫騎士逃ゲテ〜の得点システムについてちょっと書こうと思います。姫騎士逃ゲテ〜の得点部分は、「姫騎士が勝ったら姫騎士の一人勝ち」「オーク陣営が勝ったら姫騎士以外全員が勝ち」という形なのですが、この形に辿り着くまではこれもまた色々な逡巡がありました。
ボードゲームの多くは1人の勝者とそれ以外の敗者を決めるシステムが多数を占めていて、ぼくもそれがスタンダードだとは思っています。なので姫騎士逃ゲテ〜も各ラウンドの勝者とは別にゲーム全体を通して総合優勝が誰かを導き出せる得点計算の方法についても色々と考えたものでした。
ぼく個人の思いを言えば、得点システムに何か捻りを入れたいという欲もありました。チグリス・ユーフラテス、電力会社、政治献金ゲーム、ディクシット…… 得点システムがゲームの妙味になっている名作は多く、特異な得点システムはそれだけで魅力と個性たり得るのです。
が、姫騎士逃ゲテ〜にそれらを援用するのはとても難しい…… というのはこのゲームは1vs3の非対称なゲームで、オーク側の視点ではこのゲームは協力ゲームになるからです。オーク間に何かしら順位を決める手段を持ち込んだら、その瞬間オークの協力体制は瓦解してオーク同士の競争になってしまいます。準協力ゲームは協力の名を冠しながらも実質的には競争ゲームですからね。
あるいはオーク同時が互いに足を引っ張り合う中、その間隙を縫って姫騎士が逆転のトライを決める、というようなゲームデザインもアリと言えばアリでしょう。そういうバランスを前提に組むことはできなくもないです。
が、これはこのゲームのコンセプトである「1ラウンドで終わるゲーム」と凄まじく相性が悪いのですね。逆に言えば「1ラウンドで終わるゲーム」をコンセプトに据えたことで、纏まったアクション数を確保するために協力ゲームの体を取らなければならなくなったとも言えます。
あと、要素が込み入ると読みが効かなくなってよくないですし、そもそもカード選択のダウンタイムが伸びるのも、これもまたよくないです。特にダウンタイムが伸びる可能性についてはこの頃のぼくは慎重な構えを取っていました。
このように得点システムは、ゲームの方向性の決定に深く関与しています。ぼくの経験談をちょっと話すと、ボードゲーム数寄語りという自前のポッドキャストで前に「犯人は踊るの犯人は踊らないよね」という話をしたことがありました。もう1年前のことです。
あれは犯人として指摘されてもデメリットがまるでない、得点システム的に不利にならない仕様なので犯人を手放す必要が薄く、結果として犯人は踊らない、という話だったんですが(今は違いますよ)、適切な得点システムを乗せないとゲームの方向性がデザインの意図からズレてしまうことはままあるのですね。まあ、それはぼくも理解していました。
そして得点システムを後付けで乗せていくのは…… こういう特殊なゲームにおいては特に難しい! 普通のストラテジーゲームなら「勝利点一番多くとった人が勝ち」でいいんですけどね。得点システムは後で考えよう、と割と放置気味に進行していたのですが、いつになってもいいアイディアが浮かばず、いつしか納期が近づいてきてしまったのでした。10月の頭、カードの納期の2週間前くらいの頃でしょうか。
困ったなー、困ったなー、と思いながら色々な小細工を試してはみました。例えば賭けの要素を別に用意するとか。アクションカードに勝利点を設定して決まり手のグループに属したカードを出したプレイヤーがそれを受け取れるとか。
それで思い出したんですが、アクションカードの名前の帯は赤、青、紫と3色に色分けされていまして、これはその得点システムの名残です。例えば「復讐」は青色の帯ですが、「復讐」と相性のいい「奇襲」「相打ち」と言ったカードも帯が青くなっていて「復讐グループのカード」という括りになっているんですね。なので、ちょっとしたコツではあるんですが、青いカードをみんなで出すと姫騎士が捕まる確率は高くなります。色がバラバラだと捕まりにくいです。また、手札のカードの色をバラバラにすると色々な状況に対応しやすくなったりします。逆にオークの下家に同色のカードを送り続けると事故率が上がるでしょう。
話を戻しますが、ただまあ、得点回りで凝り始めると要素が増えるのでとにかくめんどいんですよね。下手に得点を複雑にすると今度はチップを標準で同梱しないとマズくなって、これも今からチップのデザインを新しく起こすのは厳しいワケです。
そんな縛りも交えつつ、色々な得点システムでテストプレイしたんですが、結局はあひるホイッPの一言で決まりました。
「得点とか別にいいよ」
すんげーバッサリw ぼくの苦心とか全く意に介さないw ちょっと抵抗を試みたんですが、結構強く反駁されました。
しかし、うーーーーん、確かにそうなのかなーと。
ぼく自身も得点システムについてはこのままで行くか緻密にするかは半々で考えていたんですよね。「あひるさんの言葉に流されました」ということにしてしまうと「あひるさん有能、円卓P無能」の烙印を押されかねないので、ここは「ぼくもそう考えてはいたんだよ! 後押しを貰ったんだよ!」というスタンスで行きたいと思いますw
結局オークに厳密な順位付けを求めるのはごく少数でもあり、やはりそこに手を入れるとピュアであるべき協力要素にノイズが入りすぎるとぼくは判断したのでした。まあ、そんなワケで姫騎士逃ゲテ〜はこんな得点システムになっています。
結論は出たんですが、得点システムにとって基本的に欲しい用件は幾つかあって。
1.逆転の可能性があること
2.逆転が理不尽ではないこと
3.簡便であること
4.同点を避けられること
5.負け確の時間が長くないこと
6.先手後手の有利不利がないこと
パッと挙げるだけでもこれぐらいは浮かびます。他にも色々あるでしょうけども。
姫騎士逃ゲテ〜に関して一番引っかかるポイントは「4.同点を避けられること」なのかなーと思いますが、この1点を満たそうとすると途端に他の点がマズくなるので手を入れるのはとてもコストパフォーマンスが悪いんですね。すぐに逆転性とか引っかかってくる……
逆転の可能性を常に確保するなら2ラウンド目の得点は1ラウンド目の倍、3ラウンド目の得点は2ラウンド目の倍…… と倍々ゲームを繰り返していけばそれで割と解決する話なんですが、これじゃ一昔前のバラエティのクイズゲームよりも、まあ、ヒドいですよねw
あ、でもババンクとか割とそんな感じのゲームもあるなw ただ、姫騎士逃ゲテ〜に関しては姫騎士とオークという異なる立場を交換しながら進めるゲームなんで単純にこれをぶっ込むと強烈な先手有利か後手有利なゲームになっちゃうのでアカンですけども。この辺やはり非対称という構成に邪魔されている部分は多いです。
で、姫騎士逃ゲテ〜の4ラウンド制の得点システムはそういう観点で見ると、ほとんどの用件を満たしていないので、得点システムとしてはあまりスジがよくないとは思います。これはぼくも認めるところで、姫騎士逃ゲテ〜に関しては「3.簡便であること」を最大限重視した形になっています。
なので、理想を言えば、髑髏と薔薇のように先行で2本先取したプレイヤーが勝ち、というのが一番いいんじゃないか、と思ってはいるんですね。
姫騎士2回勝たせたプレイヤーが勝ち。同じラウンドで複数名が達成したらサドンデスみたいな。PK戦チック。
ただ、このゲームはPKと違ってプレイヤーが4人いるので、1回負けたら次の機会まで負けない戦いを3回繰り返さなければならないと。これは精神的にキツいですし、そもそも収束性を全く無視した作りですよね。箱にプレイ時間どう書けばいいんだって話でもあります。
髑髏と薔薇の次のスタートプレイヤーの決め方のように、次の姫騎士プレイヤーを決める方法を何かしら盛り込めば収束性の問題は幾分か解決しそうにも思いますが、さて、それをどういった形で乗せるのかとなるとこれも難しい。これも下手なことをすればオーク間の競争が始まり、ゲーム自体が壊れてしまうからです。
まあ、ゲームの方向性と得点システムは噛み合わないとグダグダになるのは明白で、このゲームの方向性が最も生きるのはこの得点システムだと、割とここは消極的にそう思っています。なんかいい方法があるかもしらんのだけど、思い浮かばなかった! じゃあしょうがないよねと。そんな感じです。
なんでもかんでもいい解決策が見つかるかと言えばそうとは限らないという話でもあって。まあ、ゲーム作りには妥協もありますよという話です。ってか、妥協だらけだよぼくの場合!
次回があれば、その辺も何かコダワリをいれたいですね……
2014年11月11日
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