今年5月に募集を行いました本コンテストには応募総数19点のレビュー作品が寄せられました。ただでさえ大変なゲームレビュー、しかも2作品を比較するのは相当にハードルが高いのですが、それだけに送られてきたレビューはどれも熱量が籠もったものばかりでした。それだけに審査に時間がかかってしまい、予定より発表が遅くなってしまいましたことをお詫び申し上げます。
正直、読んでいてどれもこれも甲乙つけがたいと言いますか、素晴らしいレビューをたくさんご応募頂いたもので、ホント、このコンテストを実施してよかったなーと思っています。そのため、非常に審査も悩ましく、この中で優劣を決めなければならぬのか……! という事実に煩悶しましたが、コンテストと銘打ったからには結論を出すのがこちらのお仕事であり、責任であり、ご応募して頂いた皆様への感謝の表明でもありますので、うーんうーんと唸りながら選考させて頂きました。
そして、厳正なる審査の結果、優秀賞2点、佳作4点を選出しました。おめでとうございます。以下に受賞したレビューのURLをリンクしますので両作品にご興味のある方はぜひご覧になってください。
◆優秀賞
りょうたろうブログ
スマートフォン株式会社&モバイルマーケット 比較ボードゲームレビュー
両作の内容を並行的に簡潔に紹介するとともに、それぞれの差異についても触れられています。それぞれの要素を網羅的に拾うのはなかなか大変だと思いますが、これは丁寧な仕事だなと思わせてくれます。
また、紙面を飾る写真が実に豊富でプレイへの期待、ワクワク感を盛りたててくれます。まったくの前情報なしでもパッと見た時に製品のイメージが伝わるので、「スマートフォン株式会社」も「モバイルマーケット」も何も知らないという方に「まずはこの記事を見てほしい!」と言いたくなるような素晴らしい内容でした。
◆優秀賞
ボードゲームの妄想書き散らし処
ボードゲームの変遷から考える『スマートフォン株式会社』と『モバイルマーケット』
プロダクトの紹介というよりも、ユーロゲームの文脈における両作の立ち位置についての解説。ぼくは根がシステムギークなのでこういった語り口は実に好みです。
「どっちも知らないので、どんなゲームか知りたい」という方よりも、「どっちも知ってるけど、どうして変更があったんだろう?」と考える人向けで、ユーロゲームの世界をより深く堪能したいという方にぜひ読んでもらいたい内容です。現代のゲームを語る上で非常に重要なインタラクションという軸について理解が深まるかと思います。
まあ、単純にゲームを遊ぶだけなら、ユーロゲームの文脈を知る必要って特にないんです。じゃあ、それを知ることでどんな利益があるのかと言えば、それは「自分でゲームを目利きできるようになる」点が大きいです。紹介記事を募集する企画を始めておいてアレですが、ぼくは「自分の判断でゲームを買い選ぶ」体験が、今後ハズレのゲームを掴まないための大きな経験になると思っています。多種多様なゲームが出版される昨今、ゲームを選び取る目を鍛えると取捨選択が明確になってオトクです。ゲーム同士を比較検討するのはまさにその訓練の第一歩になりますので、皆様もぜひ「スマートフォン株式会社」と「モバイルマーケット」を遊び比べてやいのやいの言ってください。
◆佳作
いえぺりブログ 夫婦でボードゲーム!
スマートフォン株式会社 & モバイルマーケット
夫婦でのプレイ経験に基づく両作の特徴紹介。両作の共通事項と差異についてわかりやすくまとめられています。実際のプレイ体験に基づいた見解ということもあり、説得力がありました。夫婦それぞれの視点で語られることで作品の輪郭がより立体的に描き出されているように思います。
プロダクトの紹介は控えめで、ゲームプレイの印象を主体とした語り口ですね。実際に遊んだ人がこの記事を読むと深い共感を覚えるのではないでしょうか。通り一遍のスペック紹介だけでなく、こうした生の声が含まれていると「他のゲームはどう思ったのかなー」と気になってもくるので、すごくいい記事作りだと思います。
◆佳作
ボドゲnavi
【レビュー】スマートフォン株式とモバイルマーケットの比較レビュー
両作のセットアップの差異について触れている点が、他の記事にはない独特な着眼点で面白いです。【「スマートフォン株式会社」の見た目は足し算。「モバイルマーケット」の見た目は引き算。】というまとめ方は実に秀逸で、これは拍手をあげたくなっちゃいます。
セットアップだったり盤面だったりは、ゲームのプレイ感からは少し離れた内容ではありますが、総体的なプレイフィールと言いますか、体験全体の言語化という意味では的を得た内容なのではないでしょうか。面白い着眼点でした!
◆佳作
ボードゲームコレクト!
スマートフォンのボードゲームレビュー:「スマートフォン株式会社」「モバイルマーケット」
しっかりとゲーム内容にも触れてはいるのですが、それに加えて「パッドの魅力について語る」「箱絵の好みについても語る」という独特の切り口がツボでした。「ゲーム自体の情報を知りたいという欲求」とはまた別軸で、「自分の好みをひたすら語る人を遠くから眺めたい欲求」ってあると思うんですよね。好きです。
◆佳作
さむらーいのおもちゃ箱
【ボードゲーム】スマートフォン株式会社VSモバイルマーケット 比較レビュー 【ボドゲ紹介】
今回唯一の動画投稿作品。30分弱の充実した内容で、特徴的なのは両作の「ゲームの盛り上がり曲線」について触れている点。インタラクションの強弱について触れる記事は他にも多かったのですが、ラウンドを跨いだ盛り上がり曲線の変化にも触れている点が好印象でした。そうそう、「モバイルマーケット」って最初からバチバチで、そこが「スマートフォン株式会社」と大きく違うプレイ感をもたらしているところがあるんですよね。「どちらがオススメか」という判断基準が意外なところから来て、そういう見方もあるんだなーと感心しました。
受賞作は以上となります。どなたの記事にもそれぞれ異なる魅力があり、とても興味深く拝見させて頂きました。一言に「ゲームを紹介する」と言っても、それぞれ様々なアプローチがあり、ゲームを紹介を書く身の上からしても実に刺激的でした。
コンテスト実施の概要に基づきまして、優秀賞、佳作の受賞者の皆様には副賞をお送りさせていただきます。近日中にご応募頂きましたメールアドレスにご連絡させて頂きますので、メールの到着まで副賞の選択をご検討頂ければと思います。
ラベル:スマートフォン株式会社 モバイルマーケット